ニッポン新事業創出大賞

第18回ニッポン新事業創出大賞


2023年11月30日(木)「第19回JNB新事業創出全国フォーラムin広島」にて授賞式を開催致しました。

公益社団法人日本ニュービジネス協議会連合会(略称JNB)では、第18回ニッポン新事業創出大賞の「アントレプレナー部門」「支援部門」における”最優秀賞””優秀賞””特別賞”及び、”地方創生賞”の受賞者を決定しましたので、お知らせ致します。

◆ 審査委員会 ◆ 

委員長 長谷川 博和  JNB副会長、早稲田商学学術院ビジネススクール教授
委 員 各務 茂夫     一般社団法人日本ベンチャー学会会長 / 東京大学 大学院工学系研究科 教授 / 産学協創推進本部 副本部長
 同  黒田 達也     事業創造大学院大学 副学長
 同  野長瀬 裕二 摂南大学教授  学術博士 
 同  細川 正直     税理士法人 細川総合パートナーズ 代表社員   
 同  吉井 信隆     JNB副会長、インターウォーズ㈱ 代表取締役社長
(五十音順)

最優秀賞

アントレプレナー部門

経済産業大臣賞                                                                                      

公益社団法人日本ニュービジネス協議会連合会会長賞 

株式会社ヘラルボニー 代表取締役社長 松田 崇弥 

                           

https://www.heralbony.jp/

<事業概要>

国内外の障害のある150名以上の作家とアートライセンス契約を結び、2,000点以上の高解像度アートデータを保有することで多様なモノ・コト・バショに転用している。強烈なアイデンティティをもつ障害のあるアーティストが描くアートをプロダクトに落とし込み、“ちがう視界から、ちがう世界を描き出す”をテーマに自社ブランド「HERALBONY」を展開し、全国の百貨店でPOPUPを開催するだけでなく、本社のある岩手県唯一の百貨店に常設店を構える。また、東京駅や成田空港などの空間装飾や建築現場の仮囲いをアートで彩るなど他企業との協働を行う中で社会とのタッチポイントを生み出すだけでなく、起用されたアートの作家にはライセンスフィーが支払われ仕組みによる持続可能なアートライセンス事業を展開している。

<受賞のポイント>

国内外の主に知的な障害のある福祉施設、作家と契約を結び、2,000点以上の高解像度アートデータの著作権管理を軸とするライセンスビジネスや自社ブランド事業など福祉領域の拡張を見据えた多様な事業を展開している。「異彩を、 放て。」をミッションに、 福祉を起点に新たな文化を創ることを目指す福祉実験ユニットであり、「障害」をあえて特性と言い切ることにより、違う視点から、新しい世界を、社会に向けて発信していることを高く評価する。

アントレプレナー部門

中小企業庁長官賞                                                                                      

公益社団法人日本ニュービジネス協議会連合会会長賞 

コネクテッドロボティクス株式会社 代表取締役/ファウンダー 沢登 哲也

https://connected-robotics.com/

<事業概要>

「食産業をロボティクスで革新する」をミッションに、「つらい労働がなくなる」「人手不足を解消し高い生産性を実現」「いつでも美味しく健康な食を楽しめる」未来の実現をビジョンとして、2017年の4月より飲食店向けの調理ロボットシステムの開発をスタート。「高度なロボット制御の技術」と「AIを活用したセンシングと学習技術」を組み合わせたテクノロジーを強みに、調理や盛り付けなど食産業向けのロボットシステムを開発。今までに「たこ焼きロボット」「ソフトクリームロボット」「そばロボット」「ゆで麺機省エネシステム」「フライドポテトロボット」などの飲食店向けロボット、「盛付ロボット」「蓋閉ロボット」「検品ロボット」「AI検査ソフトウェア」などの食品工場向けのロボットを開発。多数の現場への導入実績を持っている。

<受賞のポイント>

「食産業をロボティクスで革新する」をミッションに、「つらい労働がなくなる」「人手不足を解消し高い生産性を実現」「いつでも美味しく健康な食を楽しめる」未来の実現をビジョンとしている。「高度なロボット制御の技術」と「AIを活用したセンシングと学習技術」を組み合わせたテクノロジーを強みに、調理や盛り付けなど食産業向けのロボットシステムを普及させていることを高く評価する。

アントレプレナー部門

独立行政法人中小企業基盤整備機構理事長賞                                                                                      

公益社団法人日本ニュービジネス協議会連合会会長賞 

Fairy Devices株式会社 代表取締役 CEO/CTO 藤野 真人

https://fairydevices.jp/

<事業概要>

高齢化により日本の労働者人口が2040年迄に約1,200万人減少する中、今すぐ現場知見のデジタル化を進めなければ、熟練工の大量退職により、長年培ってきた経験・技能・暗黙知の喪失があらゆる全産業で懸念されています。当社は「日本が世界に誇る現場力・知見」のデジタル化と、産業現場が共通に抱える「高齢化による熟練工不足」という長期課題とを同時解決する為に、「日本の熟練工と世界の産業現場を繋ぐCWS」を提供しています。
CWSは、熟練エンジニアによる現場作業支援と様々な現場データのリアルタイム収集・学習・解析を可能とするソリューションであり、独自のハードウェアTHINKLET®及びクラウドプラットフォームとAIを連携・運用することで、世界18か国でグローバル企業各社の産業現場のDXを推進しています。

<受賞のポイント>

産業現場にハード/クラウド/AIを一体提供することで、遠隔支援/作業記録による現場効率化を行いつつ、同時に現場データを蓄積し熟練工AIを構築する、コネクテッドワーカーソリューションを提供している。作業者が日々使い続ける快適性と、AIが学習可能な高品質データ収集を同時に実現するハードウェアを開発し、アプリ/クラウド/AIと垂直統合して運用することで、これら現場作業データを蓄積するソリューションを実現している。企業の垣根を越えてラージスケールで現場作業データを収集・学習している取り組みを高く評価する。

地方創生賞

アントレプレナー部門

地方創生賞

株式会社アスター 代表取締役 本郷 武延

https://www.ast-aster.biz/

<事業概要>

脱炭素社会を目指した変革が世界中で進められている中、当社は世界の電力消費量の6割を占めているモータに着目した。モータの性能を飛躍的に向上させることで、脱炭素社会の実現に貢献すべく、革新的なコイル「アスターコイル」を発明するとともに、そのコイルを組み込んだモータ「アスターモータ」を開発し、事業化に邁進している。
アスターコイルは独自の工法で成型された板状コイルであり、モータの巻線占積率を飛躍的に高めた。また、コイルの材料にアルミニウムを用いることに成功し、製品の軽量化とリサイクル性の向上に貢献している。
アスターモータは、高出力密度・高効率・防塵防水性という特長を有する画期的なモータとして、ドローン駆動用やEV用などの用途で事業化が進められている。

<受賞のポイント>

世界の電力消費量の6割を占めているモータの性能を飛躍的に向上させることで、脱炭素社会の実現に貢献すべく、革新的なコイル「アスターコイル」を発明するとともに、そのコイルを組み込んだモータ「アスターモータ」を開発、事業化している。高出力密度・高効率・防塵防水性という特長を有する画期的なモータとして、ドローン駆動用やEV用などの用途で事業化が進められている。秋田県横手市に本社工場を持ち、地域から世界に飛躍する技術・製品を発信する姿は地方創生の観点から多くの経営者の模範である。高く評価する。

優秀賞

アントレプレナー部門

優秀賞                                                                                      

株式会社Rodina 代表取締役 山田 康輔

https://rodina.co.jp/

<事業概要>

このリワークとはReturn to work(Re-Work)の略語です。うつ病などメンタル不調をきっかけに休職した方への職場復帰プログラムを提供しています。実際に休職の要因も様々あり、職場環境に問題もあれば、本人の捉え方や解釈に問題が生じているケースも。弊社では、復職後を見据えた生活面の改善や、通勤訓練だけでなく、休職に至った自身の働き方や考え方を振り返り、再発防止まで取り組んでいます。実際に企業側では月1回程度の定期面談では本人は回復した!といってもそれを図る物差しは非常に難しいものです。弊社に通う中で本当に週5日8時間働ける体力があるのか、コミュニケーション面での不安材料がないのか、定量的なデータも開示しつつ、専門的な視点で支援を行います。このように復職前にリワークを挟むことを推奨される会社様も年々増加しています。

<受賞のポイント>

メンタル不調や休職等の問題が顕在化し、社会・労働問題となるなか、先駆的に社会制度として活用しやすい「リワーク」を増やし、当たり前に職場・社会復帰できる環境を整える復職・再就職支援事業を行っている。今後、この活動は健康経営、人口減の観点からも重要であり、この「リワーク」が当たり前に認知・活用できる社会の構築のために貢献されることを期待する。

特別賞

アントレプレナー部門

特別賞                                                                                      

oVice株式会社 代表取締役CEO ジョン・セーヒョン

https://www.ovice.com/ja

<事業概要>

「人々の生活から物理的制約をなくす」ことをミッションに、誰もがどこからでも“つながる”ことができるビジネスメタバース「ovice」を開発・提供している。主な用途はオフィスとしての利用。コロナ収束に伴い出社に戻る企業もある中、働き方改革を推進する企業で導入が広がっている。その中で、場所や時間にとらわれずにつながることができるインフラとして機能し「柔軟な働き方」の拡大に寄与している。また、子育てや介護中の方、海外在住の方(越境テレワーカー)、身体障がい者の方などもovice上で一緒に働くことができるため、多様な人材が集まる組織作りにも貢献している。また、オフィス以外にもオンラインの「空間」(居場所)として不登校児支援や地方創生イベントなどの場として利用され、社会課題の解決にも役立っている。

<受賞のポイント>

「人々の生活から物理的制約をなくす」ことをミッションに、誰もがどこからでも“つながる”ことができるビジネスメタバース「ovice」を開発・提供している。既に多くの導入実績があるなか、今後、更に位置情報機能などをAI技術で強化するなど、事業拡大が期待されている。CEOは韓国出身者で意思決定も早く行動力にも優れている。グローバルな経営者が求められるなか、模範となるとして高く評価する。

アントレプレナー部門

特別賞   

株式会社サリバテック 代表取締役CEO 砂村 眞琴

https://salivatech.co.jp/

<事業概要>

「サリバチェッカー®」は、慶應義塾大学先端生命科学研究所の研究成果をもとに開発した、がんの早期発見が期待できる新しい検査です。だ液中に含まれる代謝物を最新の測定装置を用いて測定、解析することで、現在がんに罹患しているリスクを評価することができます。
だ液中の、特有な複数の物質を測定し、人工知能(AI)でがんのリスクを計算するため、遺伝子検査とは異なり、現在自分の体内で起きている事象を把握することが可能です。また、簡便で体に優しいだ液検査は、繰り返し何度でも、一人一人の健康状態に応じて適時検査が可能です。
現在、全国の医科・歯科医院様で1,800施設超に導入いただいている他、健康保険組合様・生命保険会社様・企業様等でこれまで延べ600社超に利用いただいた実績があります。

<受賞のポイント>

慶應義塾大学先端生命科学研究所で研究開発されてきたメタボローム解析技術を活用して、だ液を用いてがんリスクを検査するサービスを展開している。検査が簡易に受けられるという手軽さの一方、最先端のバイオテクノロジーと人工知能(AI)を活用した世界有数の技術力を用いて、がんの早期発見と診断・介入が期待される。山形県鶴岡市から世界に羽ばたく企業として高く評価する。

アントレプレナー部門

特別賞   

株式会社Relic 代表取締役CEO 北嶋 貴朗

https://relic.co.jp/

<事業概要>

Throttle(スロットル)は新規事業創出プログラムや社内ベンチャー制度、オープンイノベーションやアクセラレーションプログラム等を含む、すべての新規事業開発やイノベーション創出活動に最適化されたSaaS型イノベーションマネジメント・プラットフォームです。新規事業開発やオープンイノベーションにおけるアイデア創出から事業化に至るまでの一連のプロセスを一元的に管理・運用できる仕組みを提供いたします。2023年5月には、ThrottleとChatGPTを組み合わせた業界初となる「事業アイデア創出AI」を実装・提供開始しました。RelicやThrottleが持つ実績・経験などの豊富なデータと、高度な自然言語処理を組み合わせることで、特に課題が大きいアイデア創出フェーズの支援をより強化し、事業アイデアの質・量の向上を短時間で実現いたします。

<受賞のポイント>

新規事業開発やイノベーション創出活動に最適化されたSaaS型イノベーションマネジメント・プラットフォームThrottle(スロットル)を運営している。イノベーションが強く求められる日本において、イノベーション創出のためのプラットフォームを持つことに加えて、新規事業開発の豊富な経験を持つ社員による壁打ち・メンタリング支援が効果的である。全国各地の自治体・地銀・地場企業・教育機関との連携も進めており、地方企業の発展に貢献することを期待したい。

支援部門

特別賞   

新潟大学経済科学部伊藤龍史研究室 准教授 伊藤 龍史

<事業概要>

伊藤研究室は、教員一名(伊藤龍史)による運営体制であり、主な活動は(1)アントレプレナーシップやイノベーションに関する研究活動、(2)ゼミ生向けのアントレプレナーシップ教育活動「伊藤ゼミ」、(3)ゼミ生に限らず広く学生のアントレプレナーシップ育成を目指す活動「ベンチャリング・ラボ」、の3つに分けられます。活動の将来ビジョンとしては、特に次の6点を意識しています。(1)学部ゼミのみならず大学院ゼミを拡充させることで、新潟のスタートアップエコシステム構築のブレインおよびエピセンター(震源地)となること、(2)学生起業家や起業志望学生の初期段階(モヤモヤしている段階・アイデア検討段階などの「起業家本人・取り組む問題・世に出す解決策」の間のフィット悩む段階)に焦点を当てて「意思決定にかかわるアドバイス」をさらに加速させること、(3)伊藤ゼミで会社(コンサルティング会社の予定)を設立し、よりレベルの高い「実践的研究」を展開すること、(4)伊藤の研究知見を活用して設立した大学発ベンチャー「合同会社RJ’s(アールジェイズ)リサーチ・アンド・アドバイザリー」をつうじて、よりレベルの高い「社会実装」を展開すること、(5)ベンチャリングラボでの活動から得た知見をもとに設立した新潟大学「ベンチャリング・センター」をつうじて、新潟大学発ベンチャーの育成・輩出を加速させること、(6)小中高とのアントレプレナーシップ教育の連携を進めること(新潟においてアントレプレナーシップ教育に挑戦しようとする主体(小中高大の教員や地方自治体など)に対して、勉強会やテキストの作成を進めること)。

<受賞のポイント>

新潟大学経済科学部「伊藤ゼミ」およびゼミ生を超えた広い受講生を対象にした「ベンチャリング・ラボ」の活動を通じてアントレプレナーシップ教育を実践している。アントレプレナーシップに富んだ学生を多く輩出すると同時に、企業との連携活動も積極的である。資金的にも地域的にも制約が多くあるなか、理念を追求して活動を推し進めている点を高く評価する。

過去のニッポン新事業創出大賞